3月の美術館カテゴリ:ノンジャンル/2010年03月07日 Posted by yuikobo
3月に入り、暖かくなったかと思えば再び雪になる模様。心地よい陽の光は、またしばらくお預けになりそうですね。

ここ、結工房に併設している田嶋宏行記念美術館には芸術家田嶋宏行氏の版画・油彩を展示しています。田嶋宏行氏の奥様はご健在で、時折訪ねてくださいます。

奥様は美術館の展示を毎回静かにご覧になります。
いかがでしたか、と訪ねると、

普段は何も思い出したりしないのに、こうやって作品を見ているとなぜだかいろいろ思い出すのよ。

とおっしゃっていた。
だからいつも静かにじっとみつめているのだなあと、その心中に思いを馳せてしまう。

田嶋宏行の版画は、深い。
それは抽象という形で色に色を重ねている深さだけでなく、時間や思いまでも刷り込んだかのような深さを兼ね備えているからである。しかし、ユーモアや風刺は忘れない柔軟な姿勢に、芸術家としての田嶋氏の姿勢を感じずにはいられない。

画壇や芸術家のグループに属することなく、自ら学ぶというスタンスを貫いた芸術家。

この深さに田嶋宏行の魅力がつまっている。



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