ムッシュ イワン日記 立川駅の北東、若葉ケヤキモールにあるパン屋です。 日々厨房で感じた事や出来事を発信していきます。     
Bon courage !
先日、一冊の小雑誌が届いた。
送り主は、見知らぬ人。
添え書きに、ある雑誌に私の事が載っていて、
内容に共感してくれたそうだ。
本は、手帳サイズの大きさのパンに関する
基本的ガイドブック。
新入社員の研修に使うには丁度よさそうだ。
送り主にお礼の電話をかけ、少々こちらの話
をして電話を切った。
それから数日後、その送り主から電話があり、
これから当店を尋ねるとのことだ。
あいまいに返事をしてしまったが、相手は、
前回の電話でかなりご高齢と聞いていたので、
この暑さで、1時間程度かかって来るのは、
いささか心配だった。
お会いしてみると、とても70過ぎのお年寄り
に見えない50歳後半くらいの若さ。
この方、本業は翻訳の仕事しているらしく
フランス語・イタリア語もちろん英語も堪能。
特にフランス語は強いらしく、
故レイモン・カルベル先生の通訳や
著書の翻訳も手がけている。
一通り、パン談義をして元気にお帰りになった。
話の中で、彼女が言った「日本人のための
美味しいパン作りをしてください」という
言葉が心に残った。
海外の食文化そして日本の文化を知っている
人だからこそ、その言葉に説得力がある。
細かいことは、ここではあえて書かないが、
わが国のパン作りは、食材や技術などすべて
において世界のトップ水準である。
海外の模写も良いが、多くの人に愛される
パン作りをしてほしいということだ。
まだ、フランスパンがどんなものか解らな
かった時代、私の師匠は、国内にある
粉と副材料でこのパンを作りあげた。
今でも美味しさは変わらず、このレシピ
は大切に受け継がれている。
直焼きパンが大半を占める当店でも、
いままで以上に多くの人に食べていただく為、
美味しくて分かりやすいパン作りにも精進したい。 
彼女からのメッセージで「Bon courage !」
という言葉が最後にあった。
このブログを読んでくださる皆様にも
この言葉を送りたい。
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この記事へのコメント(1)
小倉さん、こんばんは!

 とっても勇気づけられる話ですね。分かっている人はわかっていることだし、パンに関わる文化って歴史や伝統の中に息づいているものだということが、それを理解している方々を通じて良くわかります。

 ただそれが、まだ日本におけるメジャーになっていない点が、我々を駆り立てる部分なのだと思います。当たり前のことが、簡単に当たり前にはなっていかない。その国において、我々の価値の創造への取り組みを評価、共感してくれる人が増えていることは間違いないと感じています。未成熟であるからこそ、余計に頑張ろうと思うのでしょうね。山根 証

 

http://www.ciaoyamane.com/

Posted by【山根 証】on 2006年08月08日

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