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パン工場の生産性の向上に取り組んで、かなりの年月がたった。この間相当数のパン業界の方々にご理解を頂き、また成果も上げていただいた。しかしまだまだ、この業界の多くの方の理解を頂いているとは言いがたい。
そもそも何故生産性を上げていかないといけないかについて考えてみたい。
企業、あるいは店は売上から経費を引いた利益で成り立っている。したがって売上より経費の方が大きい企業は、成り立っていかない。
昨今の日本の経済状況、人口減、あるいは高齢者の増加などにより、パン産業の売上の増加は停滞している、場合によっては微減の企業もある。このような環境の中でそれぞれの企業が、売上を伸ばすのは非常に難しい。
したがって利益を確保するためには経費を落とさなければならない。経費の構成は材料費、人件費、管理費などの経費であるから、これ等を減少させなければならない。
統計によるとパン産業の場合、非健全企業の材料費率は低い、すなわち材料比率を許容以上に下げた企業は利益が出なくなる。償却費などは変えようもない。したがって極論すれば企業に残されている方策は人件費の削減しかない。
無論単なるリストラを勧めているのではない。いかに限られた労働力でたくさんの仕事をこなすかということである。
すなわち、いかに生産性を上げていくかということである。したがって今利益を確保したいと思うパン企業にとっては、直近の目標は生産性の向上である。
月刊ブランリー2005年9月号[生産性よもやま話(26)]より 執筆者は、弘中泰雅氏(株式会社テクノバ=06‐6630‐7812、http://www.technova.ne.jp/) |